――新人弁護士と冷徹な上司が織りなす、法廷と人間のリアルを描いた物語――
「勝つこと」だけが正義なのか――。
Netflixで配信中の韓国ドラマ『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』(Beyond the Bar)は、そんな問いを視聴者に投げかける法廷ヒューマンドラマです。
巨大ローファーム「ユルリム法律事務所」を舞台に、正義感あふれる新人弁護士と、冷静沈着なエース弁護士が数々の案件を通じて成長していく姿を描いています。
本作は、単なる法廷の勝ち負けを描くドラマではありません。依頼人の人生、職場の葛藤、法律と倫理の狭間――そこに生きる人々の“心のリアル”が丁寧に描かれています。
韓国ドラマならではの緻密な脚本と、人間ドラマの温かさが融合した作品で、法廷劇が苦手な人にもすっと入りやすい構成です。
主演は、確かな演技力で定評のあるイ・ジヌクと、繊細な表現が光るチョン・チェヨン。
冷徹な上司と不器用な新人という王道バディ設定に、社会派テーマと感情の機微を重ね、観る人の心に深く残るドラマに仕上がっています。
法廷の緊張感、職場での葛藤、そして“人を守るために戦う”弁護士たちの姿がリアルに描かれ、見応えのある一本です。
あらすじ
Netflix配信の韓国ドラマ『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』(原題:에스크와이어、英題:Beyond the Bar)は、2025年にJTBCで放送された全12話の法廷ヒューマンドラマです。
舞台は、ソウルの一等地にオフィスを構える名門法律事務所「ユルリム ローファーム」。
主人公のカン・ヒョミン(チョン・チェヨン)は、正義感は人一倍強いものの、社会性に乏しく人との距離を掴むのが苦手な新人弁護士。
偶然にも面接時の一言が上層部の目に留まり、“異例の採用”で訴訟チームに配属されることになります。
彼女の直属の上司は、冷静沈着で勝つことにこだわるエース弁護士、ユン・ソクフン(イ・ジヌク)。
ソクフンは感情を交えず、合理性と戦略で法廷を支配するタイプ。一方のヒョミンは、依頼人の気持ちに寄り添い、どんなに小さな声も見逃さないタイプです。
価値観も仕事の進め方もまったく違う二人は、最初こそ衝突を繰り返しますが、共に数々の難事件を担当する中で、互いの存在が必要不可欠なものになっていきます。
扱う事件は、医療過誤、労働トラブル、企業の内部告発、家族間の遺産争いなど、どれも現代社会が抱えるリアルなテーマばかり。
各話で登場する依頼人の背景や心情が丁寧に描かれ、単なる“勝ち負けの法廷劇”ではなく、“人の人生”を扱う物語として深い余韻を残します。
見どころ
リアリティのある法廷描写と人間ドラマの融合
『エスクワイア』の最大の魅力は、「リアリティのある法廷描写」と「人間ドラマのバランス」です。
法律ドラマでありながら、登場人物の心の機微やチームの関係性を丁寧に描き、堅苦しさを感じさせません。
社会問題をモチーフにした緻密な脚本
各話ごとに中心となる訴訟は、実際にありそうな社会問題をモチーフにしています。
弁護士たちがどのように証拠を集め、どのようなロジックで裁判を組み立てていくのかが明確に描かれ、専門用語が多い法廷ドラマでも理解しやすい構成。
脚本監修には現役弁護士が参加しており、現実味のある法律シーンが高く評価されています。
ヒョミンの成長物語に共感
チョン・チェヨン演じるヒョミンは、社会的な不器用さを抱えながらも、依頼人の心に寄り添う優しさを持つキャラクター。
時に感情的になりながらも真っ直ぐ向き合う姿は、視聴者の共感を呼びます。
その成長は、単なるキャリアアップではなく、「弁護士として、人として成長する過程」として描かれている点が印象的です。
ユン・ソクフンの人間的変化
イ・ジヌク演じるユン・ソクフンは、冷静で合理的なロジック弁護士。
しかし、ヒョミンとの出会いをきっかけに、理屈だけでは解決できない「人の痛み」と向き合うようになります。
後半にかけて見せる“感情の変化”は、静かながら深く、彼のキャリアと人生観の変化を象徴しています。
法律事務所の内部リアリティ
「ユルリム法律事務所」の内部構造も見どころ。
アソシエイト、パートナー、訴訟チーム、顧問部など、韓国大手ローファーム特有のリアルな職場環境が描かれています。
評価制度や出世争い、チーム間の連携など、社会人なら誰もが共感できる“組織の現実”が浮き彫りになります。
感想
このドラマを観終えてまず感じたのは、「法廷ドラマでありながら温かい」ということ。
多くの法廷ドラマが“勝つか負けるか”を中心に描く中で、『エスクワイア』はその先にある“人を守ることの意味”に踏み込んでいます。
登場人物たちの人間らしさや葛藤、依頼人たちの抱える苦しみや希望が丁寧に描かれており、ひとつひとつのエピソードに重みがあります。
記憶に残る名セリフ
特に印象的なのは、ソクフンがヒョミンに語る言葉。
「法律は冷たいようで、人の痛みを照らす光にもなる。」
この一言が、本作のテーマを端的に表しています。正義とは何か、そして“勝つこと”だけが弁護士の使命なのか。
その問いかけが、ドラマ全体を通して視聴者の心に静かに響きます。
テンポの良い法廷シーン
論点整理、証拠提示、反証という法廷の基本構成が丁寧に描かれ、緊張感と爽快感が同居しています。
ヒョミンが独自の視点で真実に迫る瞬間や、ソクフンの冷静な弁論が炸裂するシーンはまさに見どころ。
感情とロジックの両立が見事に成立しており、法廷シーンだけでも十分に魅せられる作品です。
恋愛要素のさじ加減
一部の視聴者からは「恋愛要素は不要だった」という声もありますが、作品全体のトーンを壊さない程度のバランスに留められています。
むしろ、登場人物たちの人間らしさを引き出す装飾として、適度な緩衝材の役割を果たしています。
おすすめの視聴者層
・法廷ドラマや職場ドラマが好きで、リアルな人間模様を見たい人
・社会問題を扱った重厚なストーリーに惹かれる人
・理屈だけではなく、“心”で動く登場人物が好きな人
・論理的な展開と感情的なドラマの両方を味わいたい人
・新人が成長していく姿に共感し、自分も頑張ろうと思える作品を求めている人
まとめ
『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』は、法律を通じて“人を救う”ことの意味を問うヒューマンドラマです。冷徹な弁護士と不器用な新人がぶつかりながら成長していく姿は、どんな仕事にも通じる普遍的なテーマを持っています。
法廷の緊張感、チームの連携、そして人とのつながり――そのどれもが丁寧に描かれており、観終えた後には「明日を少し頑張ってみよう」と思えるような温かさがあります。
全12話という短さも程よく、社会派ドラマの入門としても最適です。Netflixで配信中なので、ぜひチェックしてみてください。
作品情報
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タイトル:エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち(에스크와이어 / Beyond the Bar)
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放送局:JTBC
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配信:Netflix(日本を含むグローバル配信)
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放送期間:2025年8月2日〜9月7日
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話数:全12話
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ジャンル:法廷・ヒューマンドラマ
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出演:イ・ジヌク(ユン・ソクフン役)、チョン・チェヨン(カン・ヒョミン役)、キム・ミンジョン、パク・ソンフン ほか
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脚本:チェ・ユラ(法律監修:現役弁護士)
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演出:キム・サンホ
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制作:JTBC Studios

